16歳の女の子。見た目はまだ12歳くらいにしか見えません。
利発そうな目をして、英語がわかるか、と聞くと、うんと頷きます。
陣痛がきたけど、なかなか生まれないために当院へ搬送されてきました。診察してみると、女性器切除をされているため膣の出口が非常に狭い。
少女から大人になる頃に女性器切除をされ、15になると知らない男と結婚させられてしまいます。
そして妊娠。早すぎる妊娠は、さまざまなリスクを伴います。この国の母体死亡の多くを占めるのは、この年齢の女の子たちです。
陣痛促進剤を使いましたが、結局分娩進行が認められないため、帝王切開としました。
手術の説明している間も、女の子はじっと私の目を見つめ返しています。そして、手術台に移された後も、泣いたり騒いだりせず、じっと正面を見つめていました。
退院の日。
それまでほとんど笑顔を見せなかった女の子ですが、さよならを言った後に見せたすこしはにかんだような笑顔がとても印象的でした。
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