「3つの願いごと」 しまず よしのり 作
山奥の小さな村に、おばあさんがひとりで住んでいました。
おじいさんが亡くなってから、一人で畑の世話をしています。
いまでは、腰をいためて、とうとう立つこともできなくなってしまいました。
それでもおばあさんは、背中の荷物を引っ張りながら這って畑までいくのでした。
そして、おじいさんの大好物だった空豆やさやえんどうなどうを、大切に育てていました。
そんなおばあちゃんを気の毒に思って、近所の人たちはいろんなものを持ってきてくれました。
おばあちゃんは、仏壇のおじいさんにいいます。
おじいさん、おら、時々 さびしくで、つれくて、泣きたぐなる、
ある日おばあさんが畑へ行ってみると、とても大きなそら豆を見つけました。
すると、さやのふたがパクリとあき、3つのそら豆が顔を出しました。
そら豆たちは、いいます。
いつも一生懸命お世話をしてくれたお礼に、願いを3つかなえてあげるよ
おばあさんの一つ目の願いは
「おれあ もういちど 立って歩きたい クワさ持って働きたい」
すると、おばあさんはとたに歩けるようになりました。
その年のおばあさんは、まえよりもっと働けるようになり、野菜もたくさんとれました。
おばあさんの二つ目の願いは
「おら 雨漏りのしねえ 新しい家がほしいだ」
すると、ぼろぼろだったおばあさんの家が立派な家にかわっていました。
ところが、村の人々は思いました。きっとなにか悪いことをして金を儲けたにちがいない。。。
いつのまにか、誰もおばあさんのところを訪ねてこなくなりました。
おばあさんは、前より寂しくなってしまいました。
おばあさんの三つ目の願いは
「おら、あるけなかった昔にもどりていだよ」
おばあさんはいつの間にか畑の真ん中でねむっていました。
ふと気がつくと誰かの背中におんぶされています。
それは、おばあさんが会いたくて会いたくてしょうがなかったおじいさんでした。
おばあさんは、これはゆめなんかじゃない、と思いながらふと手を見てみると
3つのそら豆が、微笑んでいました。
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おばあさんの願い
いつも目の前のことが大切だと思ってしまうのですね。
毎日、あくせくと生きていると、目の前のことが一番重要と思ってしまいます。
でもそら豆くんたちは知っていたのです。おばあさんのほんとの願い。
自分の一番の願いなんて、自分が一番よく知っているはずなのに
でも自分じゃ気付かないのかもしれません。
つい目先のものをねだってしまう。
理事長はそんなふうに思いました。
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